堅実経営
今日は最近顧問契約をいただいたI社長を訪問。自己資本比率56%のなかなか立派な会社さんです。30年間にわたり堅実な経営をされてこられたようです。自己資本比率というのは、総資本(貸借対照表の右側)のうちどの程度が自前の資金でまかなわれているかを示す指標です。 ちなみに自己資本とは返済義務のない資本を意味し、株主出資と利益剰余金の合計です。 制度会計上は純資産の部が自己資本に該当します。この会社、自前の資金が56%あるということです。一般的には30%程度あれば優秀と言われますので、なかなかの堅実経営ぶりです。こういったところで社長がどういう人かうかがい知れますね。
今期の業績は?
さて、今期の業績はいかに?第一四半期の業績検討会です。売上4000万で利益は600万を計上、利益率15%。今期の業績も素晴らしいじゃないですか。減価償却費を概算計上していないので600万がそのまま残るのか。また、借入金の返済が100万あるけど、新たに300万を調達しているので差し引きプラス200万。キャッシュフロー計算書では、財務キャッシュフローというやつです。ここがプラス200万。なので、単純キャッシュフローは、600万たす200万で800万。いいですね〜、第一四半期で800万のキャッシュフロー増加なんて。
消えたキャッシュ!!
次に貸借対照表も確認しておきましょう。さぞかし預金残が増えていることでしょうと貸借対照表を見てみると???
預金残が増えていない? なぜ?
確かに先月末と比べると200万増えている。これは資金調達の影響か。調達300万ひく返済100万で200万プラス。単月の資金繰りはトントンだったということ?
しかし、期首と比べると預金残は35万しか増えていない。なぜだ?
キャッシュ800万が消えた?
I社長がとった?いやそんなことはないよね。こんなこと言ったら怒られそうだ笑 それに出金の形跡がないし、、、
800万の捜索
あるはずの800万がどこかにあるはずだ。帳簿は複式簿記なので必ず相手がいるはずと。この場合、現預金ではない他の何かに姿を変えているのです。あるはずのキャッシュが無くなったのだから、大きな支払いに充てたかな?と貸借対照表の買掛金などを見てみる。うーん、残高は期首とほぼ同額。ということは支払いを進めたということではないのか。
消えた謎は、貸借対照表の中に!
ならば、貸借対照表の資産項目を見てみよう。あっ!発見!残高が大きく変動した科目がありました。
売掛金でした。期首にくらべて800万増えているではないですか。しゃちょ〜!3ヶ月でもうけた利益はぜんぶ売掛金になっていますよ。大きな工事でもあったのかな?掛けで未入金だから回収するまでキャッシュは増えないですよー
利益がでてもキャッシュが増えないこともあるんですね。注意してください!
資金繰りの実態は貸借対照表で分かります。
BS「命」!