歯科医院の人件費はいくらまでかけて大丈夫なのか?【歯科医院ブログNo.11】

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目次

はじめに

よくある質問のひとつに、「スタッフの人件費にいくらまでかけて大丈夫なのか?」「適正な人件費はどのくらいか?」というものがあります。歯科医院の経営において、人件費は、最大の経費なので気にされる方が多いです。人件費をコントロールしていくことは、とても大事なことです。人件費の適正な比率は?と議論されることが多いですが、ここでのポイントは、「率」で考えすぎないということです。

それは意味があって、意味がありません。あなたの歯科医院が相対で行くのか?絶対で行くのか?の違いなのです。

何をもって適正なのか?

経営を分析する際に、よく比率分析がなされます。人件費でいうと、人件費率と労働分配率です。人件費率とは売上に占める人件費の割合、労働分配率とは粗利に占める人件費の割合のことをいいます。そしてよく、人件費率は20%前後、労働分配率は25%前後が適正だよね、と言われています。一般的な歯科医院の基準値としては有効な比率ですが、適正な数値か?というと必ずしもそうではないと考えます。

例えば、スタートアップしたばかりの歯科医院においては、人件費率は高めになります。開業して軌道に乗るまでは、経費が先行するからです。開業時から設備投資したチェアユニットの数に応じたスタッフを採用しているからです。逆に軌道に乗っている歯科医院では、ある一定ラインの収益を超えてくると人件費率は下がってきます。スタッフの給与は売上に比例しないからですね。

このことから分かることは、稼げている歯科医院の人件費率は低くなる傾向があり、稼げていない歯科医院の人件費率は高くなる傾向があるということです。厳しい言い方をすると、稼げていないから比率が高くなるのであって、比率が高い原因は、お給料の額ではないのです。そもそもの売上が足りていないのですね。

人件費を下げても、人件費率は下がらないという現実

経営改善として人件費にメスが入れられる場合があります。人件費の削減やリストラです。この対策は一時的には効果があるでしょう。前述の比率は下がります。しかし、人件費にメスを入れると、スタッフのモチベーションが下がり、院長との信頼関係が崩れる場合が多いです。その結果、院内の雰囲気が悪くなり、来院される患者さんに伝わり、売上が落ちていくという事態になります。

つまり、人件費は下がるが、売上も下がっていく。その結果、人件費率は変わらず、ということになり経営改善どころか、さらに悪化していきます。スタッフの数が一般的で過剰でなければ、改善するポイントは人件費ではなかったのです。人件比率が問題ではなかったのです。人件費率を下げるために、「売上高アップ」を考えるべきなのです。

いくらまでかけて大丈夫なのか?という発想を変える

人件費が高い、と感じている歯科医院は、総じて売上が足りていない場合が多いです。人件費が高いと感じるのは、少ない収入の中からスタッフの給料を支払っているからです。仮に月商500万円でスタッフ給料100万円の歯科医院と月商300万円でスタッフ給料100万円の歯科医院があるとしたら、その懐事情の違いです。スタッフの給料の100万円は最低限必要な固定経費だからです。

人件費率で分析すると、月商300万円の歯科院の場合は33%になり、それは負担が大きく資金的にキツい、となります。この状態を改善するには、売上アップが対策となるのです。いくら粗利が必要なのか?という発想に変える必要があります。

逆に稼いでいる歯科医院であれば、スタッフの人件費が上がっているけど、人件費率は下がっているという現象になることが多いので、一般的な比率を意識しておいても大丈夫です。

おわりに

スタッフの人件費の考え方について説明してきました。適正な人件費かどうかを気にされる院長の歯科医院は儲けの具合が少し足りないところが多いです。

儲かる経営の秘訣は「逆算」です。スタッフの人件費総額を一般的な人件費率で逆算すると、あなたの歯科医院の必要な売上高を算出することができます。そのスタッフ(人件費)で上げないといけない売上高が決まります。その売上高を達成すれば、うちの人件費率は適正になるという訳です。逆算です。そして、いくらまで人件費をかけても大丈夫か?という答えが出てくるのです。

そして当然ですが、人件費率が低い歯科医院はあまり発展しません。逆に他の歯科医院より高い給料を支払うことができれば、より優秀な人材の確保が可能になってきて発展の可能性が広がります。歯科医院を発展させたいのであれば、人に投資して、それ以上の収益を上げていくという考え方が大事なことです。

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