10年連続赤字からV字回復したI社!!【キャッシュフロー税理士の資金繰りファイルNo.1】

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目次

I社長との出会い

I社長にはじめて出会ったのは3年前。顧問先の社長の紹介である。「ワタシの友達の会社で大変なところがあるのよ〜、行き詰まってて、周りからはもう止めろと言われているらしくて、、、何とかならないかね〜」と。じゃあ、会うだけ会ってみましょうかと、お会いすることになった。

はじめてお会いしたときの社長の印象は、感じがよく、物腰柔らかく、真面目そうな感じだった。少しお話ししてこの社長とは合いそうだと思った。仕事において合う合わないはとても重要だ。コチラがいくら熱心に指導しても、素直にアドバイスを聞き入れてくれない社長にはいくら言っても無駄だ。良くなることはない。

10年連続赤字

で、このI社、10年連続の赤字とのこと、、、よくもっているなと思った。決算書を開いてみると年商6000万、債務超過3000万、借入金4000万の会社。借入金は、ほぼ赤字補填か。当然、資金繰りの余裕は全くない。自転車操業の典型というものだ。

しかし、決算書をみて、事業内容の話しを聞いてて、まだ行けるな!と判断できた。まだ閉じるには早すぎる。もっとやれることはたくさんあるよと。このように判断できたのは、粗利率の高さだ。70%もある。売上を増やせばいいのだ。売上を増やせば社長の悩みは8割解決すると言われる。赤字とは会社を運営する経費分(固定費)の利益を生み出していない状態だ。まずは、そこを(損益分岐点)を突破する売上をあげることが解決策なのだ。

ドンブリ経営

しかし、その売上を把握できていない社長が多いのも事実。だから、ドンブリ経営といわれる。まずは事業の収益構造を説明し、頭にたたき込んでもらった。必達売上高は6500万だと。この6500万円の売上目標を追いかけてくださいと。それが改善の始まりでありすべて。返済原資的には足りないけど、10年連続の赤字なのでまずは黒字化から。

目標設定はできた。あとはやるだけだ。しかし、大きな問題が待っていた。それは資金繰り。当然だがお金がまわっていないのである。この先の資金ショートが見えている。そりゃそうだ、10年間赤字で自転車操業を思いっきりやってきた会社。社長、よく今までペダルをこぎ続けて来られましたね、と誉めてやりたい気持ちになりました。

輸血

この会社を引き受けたワタシの最初の仕事は、資金繰り・資金調達。医療で例えると心臓血管外科医として手術の腕を振るうことになった。まずは輸血、企業の血液である資金の調達を行い、資金の流れを緩やかにする必要があった。借入金の返済予定表をみて、まずこのK銀行の借入金を反復しましょうと。改善計画書を提出してである。まあ、連続赤字、債務超過の会社だから反応は厳しく当初の金額より200万ほど減額されたが500万の輸血は完了できた。

保険積立金の効用

しかし、それでも足りない。そこで決算書をよくみるとお宝が埋まっているではないか!そのお宝は、保険積立金。これは貯蓄タイプの生命保険に加入しているということ。社長に聞いてみると知り合いから勧められるままに加入してるけど内容は理解していないとのこと。そういう社長が多いのが事実だか、ワタシ的に「この保険積立金キター!!」と思った。早速、保険証券を見せてもらったところ、貯まっているではないですか。「はい!社長この保険解約して!」これがワタシの台詞。保険を解約して資金調達です。この保険マン、いい仕事してくれていました。社長は分け分からず保険料を長年支払っていたのですが、ここに来て大活躍です。これで合計1000万円の資金調達完了。手術成功です。当面の資金ショートの心配はないので目標売上を追っかけてくださいね、です。

改善1年目

それでも関与1年目は赤字500万の結果でした。正直、厳しい状況。それでも内部の状況はかなり改善してきた。特に社長の頭の中が変わった。目標設定と目標管理ができている。今期は結果として数字が出なかっただけだ。でも、お金が足りないのは目に見えている。さあ、どうするか?社長の顔は引きつっている。銀行融資も反復したし、保険も解約したし、どうなるんだろう?みたいな顔をしている。ワタシも次の手を考えなくちゃ。

そうだ、この会社年に数回スポットで500万くらいの仕事を数件受注している。この売掛金担保でお金を借りよう。社長に、I銀行に行って半年後にこの仕事で500万入金になるので短期で500万貸してとお願いしてきなさいと。はい、また輸血成功です。コレを繰り返し、一旦500万は返済するものの、次の分で再調達。結果、500万の資金ができました。社長自身はこのような資金調達手法があることを知らなかったようです。なのでびっくり。やることはまだまだあると言ったでしょと、ワタシ。

V字回復

このようにして関与2年目も資金繰りをしのいだ結果、売上6500万、利益400万を計上することができました。遂に黒字化成功です!いや〜、よく繋がった、10年ぶりの黒字バンザイ!これが本音。社長と社員のみなさんが、よく頑張って目標を達成してくれました。この決算により銀行の対応もとてもよくなりました。

そして、この度関与3年目の決算を迎えました。売上7000万、利益600万を計上!実に見事な決算です。借入金の返済も利益償還できます。これぞV字回復。つくづくPDCA(プラン→ドゥー→チェック→アクション)の重要性を再認識しました。そして改善の秘訣は、素直が一番!

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