コンビニより多い歯科医院、赤字経営で倒産が増える理由【キャッシュフロー税理士ファイルNo.11】

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目次

はじめに

街を歩けば、そこかしこに歯科医院かコンビニの看板があります。歯科医院の数がコンビニより多いという事実は、みなさんもご存じでしょう。コンビニの店舗数は約55000件、それに対して歯科医院は約7万件。この数字が、歯科医院が飽和状態と言われる所以です。実際、歯科医院の倒産も増えており、歯科医院はリッチな職業というイメージは過去のものとなってしまったようです。

 

昔からコンビニより多い歯科医院の現実

歯科医院がコンビニの数より多いのは、今に始まったことではありません。統計によると1990年頃でもコンビニ約2万件に対して歯科医院55000件です。もう随分前から飽和状態であったのです。さらに、歯科医師の数も増え続け、2012年には大台の10万人を突破しています。医科と違って勤務医という就業形態が少ない歯科業界では、歯科医師の数が増えれば、開業により歯科医院が増えるのは当然のことです。

また、歯科診療の医療費規模は、年間約2兆円台後半。このマーケットの大きさは、1990年頃と比べてたいして伸びていません。これは、市場の規模はさほど変わっていないのに、歯科医院の数だけが伸びているということです。結果、歯科医院同士で患者さんというパイの取り合いをせざるを得ない状況に陥っているということです。市場に選ばれるか選ばれないか、食うか食われるかの厳しい経営環境、当然、赤字経営を余儀なくされ倒産も十分あり得る産業なのです。※統計データは厚生労働省資料より

 

赤字経営で倒産が増える理由①:不十分なマーケティング

開業する際には市場調査から設備投資計画、収支予測など、広い意味でのマーケティング活動を行い、GOサインが出たから開業できるのです。GOサインというのは、銀行がOKを出して、融資を出したということです。歯科医院開業には多くの設備投資を伴うので銀行の融資なしには開業は困難です。銀行がGOサインを出した事業計画書なのに倒産するのはどういうことなのか? 

当たり前ですが、それは事業計画通りに進まなかったということです。なぜ、事業計画書通りに行かなかったのか? そもそも事業計画書自体は、一般的な統計や実績データに基づいて作成されていますので、大きな的外れなものは存在しないでしょう。その原因は、厳しい言い方ですが、院長が事業計画通りに実行できなかったからです。この一点につきます。

では、なぜ事業計画を実行できなかったのか? それはマーケティングの失敗だと考えます。統計的には正しい数値の計画ですが、結果の数値はその歯科医院や院長のキャラクターに左右されます。キャラクターとは、あなたの歯科医院の特徴は何か? ということです。あなたの歯科医院で治療を受ければどんないいことがあるか? です。世の中に歯科医院は山ほどあります。その中で選ばれるためには、際だった特徴が必要ということです。あなたの歯科医院に行く明確な動機が必要なのです。患者さんにその明確な動機を持たせることが十分でなかったのです。

 

赤字経営で倒産が増える理由②:組織運営の失敗

歯科医院における組織とは、院長、衛生士、助手です。上手くいっていない歯科院を見てみると、必ず上がってくる原因のひとつが「人」の問題です。この人には院長も含まれます。会社を辞める原因の上位は人間関係ですからね。院長がイヤなら患者は来ない、衛生士の対応が悪ければ患者は来ない、院長がイヤならスタッフは辞める、これが現実です。今時の歯科医院経営においても採用と育成が最重要課題です。

最近は、衛生士不足で採用が厳しい状況なので、魅力ある歯科医院づくりを行い、院長の方針に共感できる人材を採用することが肝です。ここにおいてもあなたの歯科医院で働きたいという明確な動機がないと採用できません。スタッフの採用に関しても、選ばれる立場という厳しい経営環境なので、院長の人間力が非常に問われる分野です。

 

赤字経営で倒産が増える理由③:ドンブリ経営

院長と呼ばれる人達の多くは数字が苦手な方が多い。診療には熱心ですが、自医院の経営数字には興味がない。儲けたい、稼ぎたい、という気持ちが少ないのでしょうか? それとも稼げている感覚があるのでしょうか? 確かに医療は、商売とは違います。しかし、歯科医院も稼いでお金を生み出さなければ、医療機関として存在することができません。

なぜならば、開業時の設備投資は借金の場合がほとんどですし、歯科医院を運営していく上で、材料代や家賃、スタッフの給料等を支払い続けていかなければならないからです。毎月どのくらいの収入が必要なのかを理解できていない院長が多いのも事実です。診療が忙しかった日は、案外点数が上がっていなかったりします。経営数字の管理をせずに、感覚の経営、つまりドンブリ経営をしていることが赤字経営に向かっていっているのです。

 

おわりに

このように赤字経営に陥って倒産する歯科医院の原因は、①不十分なマーケティング、②組織運営の失敗、③ドンブリ経営、の3つでした。院長は、ひとり三役を演じなければなりません。それは、歯科医師、マネージャー、経営者、です。この三役をきちんと果たせるかどうかが、あなたの歯科医院が繁盛するのか、赤字経営で倒産に向かうのかを左右しているのです。

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